ネット証券のデメリットとは？初心者がFXを始める前に知っておくべき注意点と対策

FX取引を始めたいけれど、ネット証券の安全性に不安を感じたことはありませんか？ネット証券はスプレッド(※)が狭くコスト面で魅力的ですが、リスクを理解せずに利用すると損失につながる恐れがあります。

この記事では、ネット証券でFXを始める前に知っておきたい基本知識や、デメリットとメリット、リスクの管理方法を解説します。記事を読めば、FX初心者でも自分にネット証券が合っているかどうかの判断が可能です。

ネット証券でのFX取引は基本的に自己判断・自己責任のもとで行われます。大切な資産を守るためにも、リスクを理解し慎重に取引する姿勢を持ちましょう。正しい情報を見極められれば、ネット証券で安全にFX取引できます。

※ スプレッドとは、通貨を買う時の値段(買値)と売る時の値段(売値)の差額のことです。買値と売値の差額がFX会社の手数料となります。

ネット証券の基本と店舗型証券との違い

ネット証券の基本と店舗型証券との違いを、以下のとおり解説します。

• ネット証券の定義と特徴
• ネット証券と店舗型証券の違い

ネット証券の定義と特徴

ネット証券とは、インターネットを通じてFXなどの金融商品を売買できる証券会社のことです。ネット証券は店舗を持たず、取引や手続きはすべてオンラインで完結します。店舗をもたないため運営コストが抑えられており、スプレッドも店舗型より安く設定されている点がネット証券の特徴です。

ネット証券でのFX取引は、自己判断・自己責任で行うのが基本です。ネット証券ではFX取引で困ったときに直接相談できる窓口はなく、サポートはチャットや電話などに限られます。直接相談できないため、ネット証券はある程度インターネットに慣れていて、自分で情報を調べて判断できる人に向いています。

ネット証券と店舗型証券の違い

ネット証券は、FX取引の手数料にあたるスプレッドが店舗型と比べてかなり低めに設定されています。店舗型の取引コストの1/3〜1/10程度で済む場合もあり、コストを抑えてFXを始めたい初心者にとって大きな魅力です。

一方、店舗型証券は対面での相談やアドバイスが受けられる点が強みですが、営業時間内に足を運ぶ必要があります。店舗型証券ではFXの取り扱い自体がない場合や、取り扱っていても銘柄が限られていることがあるので注意しましょう。FXを始めるなら、自由度の高いネット証券がおすすめです。

ネット証券のデメリット4選

ネット証券のデメリットは以下のとおりです。

• サポート不足
• 取引は自己責任
• セキュリティリスクの高さ
• 取引が通信環境に依存

サポート不足

ネット証券では対面サポートがないため、FXに関する疑問を直接専門家に相談できません。問い合わせは主にチャットや電話で行いますが、ネット証券からの返信に時間がかかる場合もあります。FXは24時間変動するため、リアルタイムの判断が求められる場面では、自分で決断する力が必要です。

ネット証券では店舗型証券のように専任アドバイザーが付きません。ネット証券では中長期的なアドバイスや資産計画の相談といった、一貫したサポートを受けることは難しいのが現状です。

取引は自己責任

ネット証券でFX取引を行う場合、店舗型証券と違って投資アドバイスや操作のサポートは限られています。FX取引における以下のような判断・管理を、すべて自己判断・自己責任で行うことになります。

• 為替相場の動きをどう読むのかの判断
• どのタイミングで売買するかの判断
• 取引画面の操作
• 損益の管理

ネット証券では注文ミスやレバレッジの設定誤りなど、少しの操作ミスが大きな損失につながるリスクもあるため注意が必要です。

セキュリティリスクの高さ

ネット証券では、ネット環境で資産管理や取引をするため、個人情報や資金情報がサイバー攻撃の標的になる可能性があります。フィッシング詐欺や不正アクセスといった被害は、FXを扱うネット証券でもいくつか報告されています。

トラブル時に備えたバックアップ体制が整っていないと急な相場変動への対応が遅れ、大きな損失につながる恐れもあります。

取引が通信環境に依存

ネット証券でFXを取引する際は、インターネット接続が不安定だと以下のようなリスクを抱える可能性があります。

• 売買のチャンスを逃す
• 損切りが間に合わずに損失が拡大する

FXは24時間取引が可能な分、相場の動きが早いため、通信の遅延や切断は大きな影響を及ぼします。ネット証券を利用する際は取引環境だけでなく、緊急時の対応策やサポート体制が整っているかも併せて確認しておくと安心です。

ネット証券のメリット

ネット証券のメリットは以下のとおりです。

• 手数料の安さ
• 取引にスピード感があり手軽
• 取扱商品が多様
• 投資情報が豊富

手数料の安さ

ネット証券はスプレッドが店舗型証券より低く設定されているため、取引コストを最小限に抑えたい初心者におすすめです。多くのネット証券では、FXの取引コストを定額または変動のない安定した形で提供しています。

中には主要通貨ペアでスプレッドがほぼゼロに近い水準のネット証券もあるため、初心者でも比較的気軽にFXを始められます。

取引にスピード感があり手軽

ネット証券を使えばFXの取引はすべてオンラインで完結できるため、スピーディーに注文を出すことが可能です。店舗型証券のように窓口での手続きや営業時間を気にする必要がなく、自分の好きなタイミングでスマホから売買できます。

相場の変動が激しいFXにおいて、タイミングを逃さずに取引できる点がネット証券のメリットです。ネット証券では以下の機能を活用することで、初心者でも手軽にFXを始めやすくなっています。

• スマホアプリでのリアルタイム取引
• オンラインで完了するFX口座開設
• 即時対応の入出金システム
• 取引履歴や残高をいつでも確認可能
• 自動売買や指値・逆指値などの条件付き注文に対応

上記のようなネット証券の便利な機能を活用すれば、仕事や家事で忙しい人でも自分のペースでFXに取り組めます。

取扱商品が多様

ネット証券では以下の多様な金融商品を取引できます。

• FX(主要通貨からマイナー通貨まで対応)
• 国内外の株式(日本株・米国株など)
• 投資信託
• ETFやCFD(指数連動型や商品系など)
• NISAやiDeCoなどの積立投資制度
• 債券や仕組み債
• デジタル資産やREITなどの代替投資商品

店舗型証券では取り扱いが少ない小型株や新興市場銘柄、海外ETFなども、多くのネット証券で取引できます。多様な取扱商品により、ネット証券ではリスクを分散したポートフォリオを構築しやすく、長期的な資産形成にも役立てられます。
» FXとは？基本的な知識と注意すべきリスク、始め方

投資情報が豊富

ネット証券ではFX初心者にも役立つ以下の情報が無料で提供されており、取引の判断材料として活用できます。

• 為替ニュース
• 経済指標カレンダー
• 相場のリアルタイムチャート
• プロのアナリストによるマーケット解説
• 初心者向けの学習コンテンツ
• ウェビナー(オンライン講座)

ネット証券ではFXの通貨ごとの特徴や過去の動きを分析できる機能もあり、初心者でも段階的に相場観を養えます。さらに、自分の取引履歴をもとに損益やポジション状況を可視化できるツールも、ネット証券によっては用意されています。

過去のFX取引を振り返ると、自分の取引傾向や改善点に気付くことが可能です。情報収集と振り返りを習慣化すれば、初心者でもスキルアップしやすい環境です。

ネット証券が向いている人

ネット証券が向いている人は以下のとおりです。

• 自分で情報収集ができる人
• コストを重視する人
• セキュリティ意識が高い人
• デジタルツールの利用に抵抗がない人

自分で情報収集ができる人

ネット証券では、店舗型証券のように担当者から直接アドバイスを受けられるわけではありません。自分の判断で為替相場を分析し、売買のタイミングを見極める力が必要です。ネット証券を使う際は、以下のような情報収集を日常的に行うことが推奨されています。

• 為替相場の動きやチャートの分析
• 経済ニュースや重要な経済指標のチェック
• FX関連のレポートや解説記事の活用
• 中央銀行の金融政策や国際情勢の把握
• 信頼できるSNSやブログでの情報収集

インターネット上には有益な情報も多い一方で、誤情報や根拠のない噂も混在しています。FXに関する基本的な知識や相場の仕組みを学び続ける意欲がある人は、ネット証券を使ったFX取引に向いています。

コストを重視する人

以下のような投資にかかるコストを重要視している人は、ネット証券でのFX取引がおすすめです。

• 少額からFXを始めたい初心者
• 毎日または高頻度で取引する人
• コツコツ取引しながら経験を積みたい人
• 取引コストをできるだけ抑えて利益を伸ばしたい人
• 入出金や口座維持の手数料も気にしたい人

FX取引ではスプレッドをいかに抑えるかが利益に大きく影響します。ネット証券はスプレッドが狭く設定されている場合が多く、コストを意識する初心者にとってFX取引を始めやすい環境です。ただし、1回当たりのスプレッドが小さくても、取引を繰り返すことでコストが積み重なり、最終的な損益に影響を及ぼすことがあります。

セキュリティ意識が高い人

ネット証券でFXを行う場合、すべての取引がオンラインで完結するため、セキュリティ対策は欠かせません。セキュリティ意識が高い人は、サイバー攻撃や不正アクセスといったリスクを最小限に抑えたうえで安全にFX取引を続けられます。

以下の対策で、ネット証券でのFX取引に関わるセキュリティを高められます。

• 取引後に必ずログアウトする
• 不審なメールやSMSのリンクを絶対に開かない
• パスワードや認証情報を定期的に見直す
• 二段階認証を設定する
• ウイルス対策ソフトを導入する
• ネット証券が発信するセキュリティ関連のお知らせを読む
• セキュリティ事故に関するニュースにも目を通す

FXは24時間取引が可能な分、不正アクセスのリスクにもさらされやすい環境です。ネット証券では、日頃からのセキュリティ対策をすることで、安全な取引環境を維持できます。

デジタルツールの利用に抵抗がない人

ネット証券でFX取引をするには、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器にある程度慣れていることが強みになります。オンラインでの取引に抵抗がない人であれば、FX取引ツールやチャート分析機能を駆使して効率よく売買の判断ができます。

FX取引に関するさまざまな機能を使いこなせる人には、ネット証券が向いています。

ネット証券のリスクを管理する方法

ネット証券を利用する際は、万一のトラブルに備えたリスク管理が必要になります。ネット証券のリスクを管理する方法は以下のとおりです。

• セキュリティ対策の強化
• 確実な取引のための通信環境改善
• 情報リテラシーの向上

セキュリティ対策の強化

ネット証券でFX取引する際は、オンライン環境で個人情報や資産情報を扱うため、しっかりとしたセキュリティ対策が必要です。ネット証券を使いつつ自分の資産を守るためには、以下の基本的な自己防衛策を習慣化する必要があります。

• 複雑で使い回さないパスワードを設定する
• 二段階認証を有効にする
• 公式のスマホアプリを利用し、不正なアプリのインストールを避ける
• 公共Wi-Fiを使用せず、自宅など安全なネット環境で取引する
• フィッシングメールや偽サイトへのアクセスに注意する
• ウイルス対策ソフトを導入し、常に最新の状態に保つ
• OSやブラウザを定期的にアップデートして脆弱性をなくす

上記の中でも、二段階認証は第三者の不正ログインを防ぐ効果的な手段です。仮にパスワードが漏れてしまっても別のデバイスによる認証が必要になるため、ネット証券への不正アクセスを未然に防げます。

確実な取引のための通信環境改善

ネット証券では、通信トラブルが発生するとFX取引の注文タイミングを逃したり、意図した価格で約定できなかったりします。急な為替変動が起きやすい時間帯では、わずかな遅延が損失につながる恐れもあるため注意が必要です。

通信環境を整える方法としては、光回線などの高速かつ安定した固定回線を導入することが基本です。信頼性の高いプロバイダーを選ぶことで、通信速度の低下や混雑によるトラブルを避けやすくなります。

情報リテラシーの向上

ネット証券でのFX取引で利益を出すためには、正確な情報を見極める力である「情報リテラシー」の向上が求められます。不確かな情報や感情的な憶測を鵜呑みにせず、自分で確認・比較・分析する姿勢が、FXでの適切な判断と取引につながります。

多数の情報から価値ある情報を見極める力を身に付けて、安全にネット証券でFX取引をしましょう。

まとめ

ネット証券は、手数料を抑えつつオンラインで手軽にFX取引を始められる点がメリットです。ネット証券は株式やETFなどといった多様な商品を1つの口座で管理できるため、資産運用の幅を広げたい人にもおすすめです。

ただし、ネット証券は対面サポートがないため、取引や判断はすべて自己責任となる点には注意してください。ネット証券を安全に活用するには、トラブルに備えるために以下の対策が必要です。

• ウイルス対策
• 二段階認証などのセキュリティ強化
• 安定した通信環境の整備

上記の対策をしっかり行うことで、初心者でも安心してネット証券でFXを始められます。